クリックは重要視すべきなのか?広告出稿において考慮すべき4つの指標

クリック数などの指標は常に、広告主がデジタル広告キャンペーンの効果を評価するのに役立つ、重要なベンチマークとなってきました。

1994年に行われた最初のバナー広告キャンペーンは、40~50%という驚異的なクリック率を記録しました。しかしその後、多くの変化がありました。

現在、インターネットユーザーの約85%は、バナー広告をクリックしないと言われています。

では、広告キャンペーンの効果を正しく評価するにあたって、クリック率(CTR)やクリック単価(CPC)といった指標に注目すべきなのでしょうか? 以下で詳しくご説明します。

クリック数以外にも注意を払うべき2つの理由

デジタル広告キャンペーンの効果を評価する際に、クリック数以外にも目を向けるべき理由が、2点あります。

まず、興味のあるすべてのユーザーが、広告をクリックするわけではないという点です。クリック後のコンバージョンは全コンバージョンのわずか1割未満だということが、長年の経験を通じて分かりました。つまり、ほとんどのユーザーは、商品の購入に興味があっても広告をクリックしないのです。

次に、クリックファームの存在が挙げられます。クリックファームとは、人間に代わって広告のクリックを大規模に請け負う業者のことです。成功報酬型マーケティングのパートナーがバナー掲載場所について不透明な場合は、実際よりも多過ぎるクリックが生成されている可能性があり、注意が必要です。また数値が正確でないと、ユーザーが実際に広告に興味を示したのかを評価するのは困難になります。

では、クリック数が必ずしも信頼できる指標といえないならば、代わりに何に注目すべきなのでしょうか?

クリック数に代わる、注目すべき4つの指標

1.アテンションタイム

現在、私たちが集中力を持続できるのは、わずか8秒といわれています。

アテンションタイムは、ユーザーがデジタル広告に費やした時間を測定します。この指標ではスクロールやタブの切り替えといった、ウェブページにおける一般的なユーザーの動作が考慮されます。そのため、CTRやCPCよりも信頼のおける指標といえます。

アテンションタイムの指標に合わせて最適化すると、ユーザーのエンゲージメントを高めることができます。考慮すべき主要な指標を、以下に5つ挙げます。

1.ビューアビリティ(視認可能性):広告は表示されているのか?

2.表示時間:どれくらいの時間、広告が表示されたのか?

3.滞在時間:ユーザーがどれくらいの時間、ウェブページに滞在していたのか?

4.インタラクション・イベント:ユーザーによる、クリック以上の操作があったのか?

5.インタラクション率:インプレッションごとにユーザーが行った操作の割合

2.ブランドリフト調査

クリック数やコンバージョン数、その他デジタルマーケティングの標準的な指標の他に、キャンペーンが実際に与えた影響を知るにはどのような方法があるでしょうか?

ブランドリフト調査は、広告キャンペーンを実施した後にブランドとの接触が増えたかを分析します。キャンペーンによってブランド認知度が全体的にどの程度向上したかや、新規顧客やリピート客の間でのポジショニングについて、詳細なインサイトが得られます。ブランドリフト調査には、アンケートやインタビューによってブランド認知度やブランド想起などを調べる方法、広告接触後のフォロワー数の変化などを定量的に測定する方法、ソーシャルメディア上の情報を分析する方法などがあります。

またブランドリフト調査は、マーケティングキャンペーンが消費者の意識や検討、好み、その他関連する指標にどの程度影響を与えたか把握する上でも役立ちます。これらのインサイトは、今後展開していくマーケティング活動の最適化や、より情報を得た上でのマーケティング支出の意思決定に役立ち、最終的には業績の改善にもつながります。

3.相乗効果の分析

4週間実施したキャンペーンがブランドにどのような影響を与えるか、考えたことはあるでしょうか? ラストクリック(最後にクリックされたもの)を見るだけでは、全体像を把握することはできません。

キャンペーンは複数のチャネルで実施することが多いものですが、ラストクリック・アトリビューション・モデルでは、それぞれのチャネルがどれだけの影響を与えたかを評価することはできません。相乗効果を分析すると、各チャネルの真の影響力を明らかにできます。そして、確度の高い顧客を獲得する上でどのように貢献しているかを、評価するのに役立ちます。

当社のクライアントの一つ、アブダビ文化観光局が行ったキャンペーンでは、他の観光地と比べて旅行期間が長く、宿泊費用が高いオーディエンスを呼び込むことができました。また相乗効果を分析したところ、ホテルについての検索数が7,000件増加し、フライト情報の検索数も6,600件増加したことが明らかになりました。つまり、より大きな視野で全体を俯瞰することが重要といえます。

4.人流の分析

貴社がオンラインとオフラインのカスタマージャーニーを横断して追跡する能力は、どのくらい高いでしょうか? 店舗を訪れた顧客の中で実際にデジタル広告を見たり、クリックした人物を特定することはできますか?

そこで役立つのが、人流の分析です。この分析では、広告に対して操作を行ったユーザーの、オフラインでの行動に与えた影響が明らかになります。さらに、ユーザーのデモグラフィック(性別や年齢などの属性)、よく訪れる店舗、店舗の滞在時間といった、さらに深いインサイトも得ることができるのです。

消費者の立場として考えると、最終的な購入決定に影響を与えるアクションはいくつかあるものです。そのため、広告キャンペーンが与えた影響の全体像を、クリックのみでは把握できないことは明らかでしょう。マーケティングの予算や活動を最大限に活用するには、アテンションタイム、ブランドリフト、相乗効果、人流などの指標を考慮することが重要です。

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