サードパーティCookieに代わる、4つの手段

サードパーティCookieの廃止まで、期限が迫りつつあることには疑いの余地がありません。では、それに代わるものは一体何なのでしょうか?企業が代替的に使用している4つの選択肢を、ここでは見ていきます。

先日お伝えしたように、グーグルはChromeブラウザからサードパーティCookieを2022年までに廃止する当初の計画を、2023年後半まで約2年間延期すると発表しました。

ChromeでのサードパーティCookieの廃止はしばらく延期にはなったものの、終焉が訪れることは紛れもない事実です。そして賢明な企業は、すでに代替の手段を探しています。

では、サードパーティCookieに依存しないとなると、どのような選択肢があるのでしょうか? 企業が既に使用している4つの選択肢を見ていきましょう。

なぜCookieが廃止されるのか?

まず、廃止が予定されているCookieの種類と、その理由について簡潔にご説明しましょう。幸いなことに、グーグルの発表が影響を及ぼすのはサードパーティCookieのみで、これはサイトを訪れた際に第三者が生成するもののことです。ユーザーが訪問したサイトが生成し、パスワードやカート内の商品といったデータを保存するファーストパーティCookieは、今後も残ります。

サードパーティCookieが廃止に追い込まれたの

は、プライバシーを脅かす恐れがあることと、ユーザーのデータが悪意のある者の手に渡った場合や悪用された場合のリスクを懸念してのことです。(詳しくはCookieの歴史や、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違いについて解説したこちらのサイトをご覧ください)

サードパーティCookieの廃止を視野に入れているのは、グーグルだけではありません。

  • 2010年、米連邦取引委員会(FTC)はソーシャルネットワークやブラウザ開発者に対し、行動追跡拒否(Do Not Track)機能を備えた仕組み作りを要求
  • 2011年、eプライバシー指令によって欧州連合(EU)のCookie関連の法律が変わる。サイト訪問者に対してCookie利用に関する情報を提供し、同意を取得することが必須になる
  • ​​2017年、アップルがITP(Intelligent Tracking Prevention)を展開。サードパーティCookieを30日後に削除することで、ウェブサイト所有者や広告プラットフォームが追跡できる機能を制限する
  • 2019年5月、グーグルがChromeユーザー向けの変更を発表。ユーザーはファーストパーティのデータを失うことなく、オンライン広告のターゲティングに使われるCookieを削除できるようになる
  • 2018年、一般データ保護規則(GDPR)が施行。Cookieバナーが表示されていても閲覧を続行できるといった暗黙的なオプトイン(同意)は通用しなくなる
  • 2018年には他にも、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が施行。カリフォルニア州の住民に、個人情報の収集や第三者への販売をオプトアウト(拒否)できるなどの権利を与えた

サードパーティCookieを代替するもの

サードパーティCookieを使えないならば、どのような代替手段があるのでしょうか? 考え得るのは、以下4つのソリューションです。

1)ファーストパーティ・データを使用する

まず検討できるのは、既存のファーストパーティ・データを使うこと、そして新しいファーストパーティ・データをできるだけ多く集めることです。ファーストパーティ・データは、ユーザーが貴社に直接提供するデータで、メールアドレスや電話番号、購入履歴、プリファレンスなどを指します。

メールアドレスなど顧客の詳細については、すでに多少のファーストパーティ・データはお持ちでしょう。サイトへの会員登録を促したり、価値のあるコンテンツ(これを「リード・マグネット」と呼びます)を提供することで、さらに詳細なデータも入手可能です。(ファーストパーティ・データの収集と保存にあたっては、常に法律や規制を遵守することが重要です)

しかし、ファーストパーティ・データでコミュニケーションをとることができるのは、貴社のことを既に知っており、気に入ってくれている人たちのみです。新規の見込み顧客を、貴社の顧客ライフサイクルに取り入れることはできません。そのため、広告のリーチと利益が、かなりの制約を受けることになります。またサードパーティCookieによるユーザーの行動追跡が無いと、すでに貴社のライフサイクルに含まれている顧客についても、限られたインサイトしか得ることができません。

2)コンテキスト・ターゲティングを使用する

広告から成果を得るには、的確な人に対して、的確な場所やタイミングで広告が表示されることが大切です。サードパーティCookieに依存せずにこれを実現する一つの方法が、コンテンツの文脈

(コンテキスト)に沿った広告を配信する「コンテキスト・ターゲティング」です。

コンテキスト・ターゲティングは、宣伝している商品やサービスとの関連性が高いウェブサイトに、ディスプレイ広告を配信します。これは、ユーザーが検索したワードに関連した広告を表示する検索エンジン広告と同じ戦略といえます。

コンテキスト・ターゲティングは理にかなっているように見えますが、そのままでの使用には限界があります。たとえば、広告の配信先が購買のライフサイクルにいるのかを把握することはできません。また、貴社が販売しているものを実際に必要としているユーザーなのかを確認するために役立つ、居住地などのデモグラフィック情報を知ることもできません。

つまり、受け手のその時の心理状態に合わせてメッセージを届けることができないのです。理論上では、理想のターゲットが訪れそうなウェブサイトに広告が表示されるのですが、的確ではないユーザーやメッセージを含んでしまう可能性があるのです。

3)ウォールドガーデンを使用する

サードパーティのデータに代わるもう一つの方法は、Google、Facebook、Amazon、Pinterest、Twitter、TikTokなどのウォールドガーデンを使用することです。

ウォールドガーデンを使用する利点は、ファーストパーティ・データにアクセスできることです。これらのプラットフォームはログイン中のユーザーの追跡を、複数の端末を横断して行うことができます。また、オーディエンスから独自のファーストパーティ・データを収集することも可能ですしかし、このようなウォールドガーデンにも限界があります。まず、プラットフォームにログイン中のユーザーに限定されてしまいます。また、Facebookへの広告がボイコットされた期間に明らかになったように、広告効果があるように見えても現状から乖離している可能性もあります。アトリビューション分析にラストクリック(コンバージョンパスで最後にクリックされた広告のみを貢献度の評価対象にする方法)が設定されているからです。

4)consenTagやActiveIDを活用する

過去数年間にわたり、クリムタンはサードパーティCookieに代わる独自技術の向上に努めてまいりました。当社のソリューションには同意管理プラットフォーム「consenTag」や、Cookieを使わずに高い精度でのターゲティングを可能にする「ActiveID」などがあります。

これらを組み合わせた当社のソリューションは、同意のプリファレンスを管理し、パフォーマンス向上のために関連性の高いターゲティングを行い、アトリビューションによって点と点を結びます。その結果、現在はSafariやFirefoxなどのブラウザで、顧客ライフサイクルのあらゆるステージのユーザーに向けた配信を、サードパーティCookieを使わずに実現しているのです。

当社独自のこの技術では、閲覧履歴追跡のための代替的な識別子を、作る必要も使う必要もありません。当社のウェブプロダクトはプライバシー保護APIを活用しており、広告主企業とパブリッシャーの両方に業界最高レベルの成果をもたらしつつも個人の追跡を防止しています。

サードパーティCookieをどのように置き換えていくか?

グーグルはサードパーティCookieの廃止を延期にしましたが、終焉の日は間もなく訪れます。そして賢明な広告主企業は、何もせずに終焉の日を待っているわけではありません。さまざまな規制に完全準拠しながら実績を上げる実現可能な代替の手段を、既に探し始めています。

当社のソリューションの活用方法やこれまでの成功事例について、詳しくはぜひこちらからお問い合わせください。