マーケティングアトリビューションの基本

マーケティングの成果への貢献度を明確にする「アトリビューション」を測定する、最適なソリューションとは? アトリビューションの重要性や課題、将来性についてクリムタンのグループ・オペレーション・ディレクター、アンディ・ヒューストンが解説します。

正確なアトリビューションは、マーケターが切望してきたものです。マーケティング費用の価値や、投資収益率(ROI)向上を目指して展開したマーケティング活動の影響を理解することは、事業の認知度を高め、顧客を獲得し、LTV(生涯価値)を高める上で重要な鍵となります。

適切なアトリビューションの重要性

投じたマーケティング費用のすべてが、すぐに結果に結びつくわけではありません。マーケターが払う費用は多岐にわたります。マーケティング戦略全体で費用対効果をプラスにするために、キャンペーンが適切な人に届くよう担保し、限りある予算で収益を最大化したいと考えています。

アトリビューションのシステムは、さまざまな顧客エンゲージメントの各要素においてどのチャネルを活用すればよいか、マーケターの判断を助けます。

クリックの測定では全体像を把握できない理由

今日のエコシステムにおける多くのアトリビューションシステムは、ユーザーのクリック数や、ラストクリック(最後にクリックされた広告)に焦点を当てていました。しかし多くのエンゲージメントが、即座にクリックされるといったアクションに直結するとは限らず、ブランドのエンゲージメントの全体像を示してはいません。

クリックの測定に固執していては、プログラマティック広告とそのメリットはレポートに十分に反映されず、多くのチャンスが見過ごされる可能性があるのです。

見た目のパフォーマンスと実情が乖離していることに、多くのマーケターが気づき始めています。以下の2つの数字と、Googleアナリティクスの分析結果を見てみましょう。

Googleアナリティクスで「google」に関連づけられたトラフィックの85%が、さまざまなマーケティング活動を展開してきた相乗効果によるものです。アルファベット社のツールによって生じたトラフィックやパフォーマンスではなく、その他の活動の成果なのです。

アトリビューション追跡技術の課題

マーケティングにおけるアトリビューションは、決して簡単ではありません。世界は完全にはデジタル化されていないため、エンゲージメントの追跡が可能なデジタルチャネルのみならず、非デジタルの活動についても想定する必要があります。

因果関係を理解することは、あらゆる種類のマーケティングキャンペーンにおいて重要です。そしてデジタル化が進むにつれ、顧客のライフサイクル全体でLTVを高めるきっかけは何なのかを、より深く理解することが容易になりました。

オフラインの測定であっても、そのアクションがとられた場所が分かれば、ブランド資産全体でのコンバージョンリフトとして検討でき、適切なマーケティングミックスについて理解できるようになります。

いずれの場合も、焦点を当てるのに適切なエンゲージメントを探るためには、単一の指標に完全に依存することなく、多くの要因を考慮することが重要です。

ライフサイクル全体でのエンゲージメントで、アトリビューションに焦点を当てる

どのようなビジネスでも、新しい顧客を開拓し、コンバージョンへとつなげ、LTVを高める必要があります。どのステージでも顧客からのエンゲージメントが発生する可能性はありますが、それは必ずしも「クリック」という形で行われるとは限りません。ビジネスが成り立つには、潜在的なアクションは能動的なアクションと同程度に重要です。そして後のステージにおいて潜在的なアアクションが相乗効果を発揮し、能動的なエンゲージメントにつながっていくのです。

真のアトリビューションをモデリングし、マーケティング費用の価値を理解するためには、これらすべてのエンゲージメントを、クリックという形であるかどうかに関わらず考慮する必要があります。ビュー数や滞在

時間といったエンゲージメントを、軽視してはならないのです。

顧客が御社ブランドを検索し、サイトに直接アクセスしてくれていることは、Googleアナリティクスからも明らかです。そのため、顧客がどこでどのように意思決定したのか理解することが、次にどこに予算を配分するかを決める上で重要な要素となります。

ライフサイクルマーケティングとは、的確なメッセージを的確なタイミングと場所で、ライフサイクルに沿った文脈で顧客に提供し、エンゲージメントを構築することです。顧客とのライフサイクルエンゲージメントにおいて最も費用がかかるのは、新規のエンゲージメントを構築する際であるというのは、よく知られた事実です。

エンゲージメントを構築した顧客がサイトを訪れてくれれば、エンゲージメントからコンバージョンにつなげ、再度訪問してもらえるようリエンゲージメントを実施するといった好循環を生み出し、LTVやロイヤルティを高めていくことができます。

正確なアトリビューションを行う4つのポイント

正確なアトリビューションを行う4つのポイント

投じたマーケティング費用のすべてが、すぐに結果に結びつくわけではありません。マーケターにとって重要なのは、キャンペーンが適切な人に届くよう担保し、費用対効果を最大化することです。

正確なアトリビューションを実現する方法については、ハイブリッド・アトリビューションに関するホワイトペーパー(完全版)をご覧ください。

筆者について

アンディ・ヒューストンは20年以上にわたり、デジタル関連のプロジェクトに数多く携わる。Tesco.com(Eコマースサイト)の立ち上げに携わった後、Venda(2016年にオラクルが買収した世界最大のオンデマンドEコマースプロバイダー)では、Jimmy Choo、TK Maxx、Urban Outfittersなどの案件を成功に導く。直近ではLarsson & Jennings(腕時計ブランド)のCCOを務めた。クリムタンではプロダクトディレクターとして、開発からデリバリーまで横断的な戦略に取り組み、クライアントにより高い価値を提供するべく尽力している。