プログラマティック広告とは?

プログラマティック広告はどのように機能するのか? 自分たちに適した手法なのか? このような疑問にお答えするべく、プログラマティック広告の基礎知識やテクノロジーについてまとめました。

数年前に、プログラマティックの初心者向けガイド(英語版)を公開しました。しかし、それ以降のデジタルマーケティングの世界は劇的な進歩を遂げ、プログラマティックはデジタル屋外広告(DOOH)、テレビ、オーディオなどへと展開し、進化を続けています。そこで今回、ガイドのアップデート版を作成いたしました。

プログラマティック広告の歴史

Display Trading Councilは、プログラマティック広告を「メディアの売買における自動化の活用」と定義しており、ディスプレイ、モバイル、DOOH、オーディオ、コネクテッドテレビ(CTV)など、あらゆるものに適用できます。

マーケティング・ウィーク(Marketing Week)によると、プログラマティックは売れ残った広告在庫を処理し、効率を高める手段として始まりました。
プログラマティック広告の起源は、ウェブサイトに初めてのバナー広告が表示された1994年までさかのぼることができます。このバナー広告はAT&T社の「You Will」キャンペーンの一環として、hotwired.comに掲載されました。人々はこの新しいコンセプトにとても興味を示し、何度もクリックしたそうです。

プログラマティック広告の仕組み

当然のことながら、当時と比べるとプログラマティック広告は劇的に進化しました。その仕組みを簡単に説明すると、企業やエージェンシーがデマンドサイドプラットフォーム(DSP)を活用して、購入したいインプレッションと金額を選ぶというものです。

一方で、広告を掲載するパブリッシャーはサプライサイドプラットフォーム(SSP)を活用し、広告枠を企業やエージェンシーに販売します。すると、2つのプラットフォーム(DSPとSSP)がリアルタイムに取引を行います。

企業やエージェンシーとパブリッシャーの間で価格について合意し、取引が成立すると、インプレッションがウェブサイトに表示されます。プログラマティックでは取引が自動的にリアルタイムで行われ(RTB:リアルタイム入札)、デジタル広告のキャンペーンを効率的に実施することができるのです。

デマンドサイドプラットフォーム(DSP)とは?

それでは、プログラマティック広告を機能させるテクノロジーを見てみましょう。デマンドサイドプラットフォーム(DSP)は、広告の入札額をリアルタイムで決定するプロセスを、自動化する技術のひとつです。

DSPの主な利点は、単にパブリッシャーから広告インベントリ(広告在庫)を購入するだけにとどまりません。DSPのターゲティング機能を用いることで、多岐にわたるパブリッシャーのサイトの、特定のオーディエンスセグメントにリーチできるのです。そのため「このサイトに広告を載せたい」と指定しなくても、自社ユーザーと類似した属性を持つ人たちが見るとデータが示すウェブサイトに、広告を表示させることができます。

DSPのおかげで、広告主は個々のパブリッシャーに連絡して、ウェブサイトに広告を載せられるかを確認しなくても済むようになりました。トランザクション(取引)はネットワーク経由で自動的に行われます。

サプライサイドプラットフォーム(SSP)とは?

サプライサイドプラットフォーム(SSP)は、メディアオーナーやパブリッシャーが広告枠を販売する際に活用する技術で、セルサイドプラットフォームとも呼ばれています。SSPは広告インベントリの供給や配信の調整・管理を行うもので、プログラマティックのリアルタイム入札において重要な役割を果たします。

SSPを活用することによって、パブリッシャーはさまざまなアドエクスチェンジ(広告取引市場)やDSPと接続し、広告在庫を最適化できるようになります。潜在的な買い手と可能な限り多くアクセスできるため、広告インベントリが生み出す収益を最大化できるのです。

リアルタイム入札(RTB)とは?

リアルタイム入札(RTB)とは、ウェブページを読み込む間に、オンライン広告のインプレッションの売買をオークション形式でリアルタイムに売買することです。これらのオークションは通常、アドエクスチェンジやサプライサイドプラットフォーム(SSP)にて行われます。

RTBはプログラマティック広告の一種ですが、すべてのプログラマティック広告がRTBを使うわけではありません。場合によって、インベントリをオークションではなく、固定価格で事前に取引できるアドプラットフォームもあります。プログラマティックダイレクト、プログラマティックギャランティード、オートマチックギャランティードと呼ばれることもあります。

データマネジメントプラットフォーム(DMP)とは?

もう一つ、プログラマティック広告に必要なものには、データマネジメントプラットフォーム(DMP)があります。これはさまざまなソースのデータを一元管理し、分析するシステムのことです。

DMPは、ファーストパーティデータ、セカンドパーティデータ、サードパーティデータを処理・統合の上で保存し、顧客像を明確にできます。また、たとえば「ひんぱんに購入してくれる人」「猫が好きな人」といったように、収集したデータをセグメント化することもできます。

またDMPを使用することで、ターゲットグループのユーザーと類似した属性を持つ新規ユーザーを見つけ、顧客ネットワークを飛躍的に拡大させることができます。DMPはDSPと接続し、これらのユーザーの属性に適したインベントリを見つけます。

ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション(DCO)とは?

プログラマティック広告では多くの場合、スタティック(静的)な広告が表示されます。つまり、キャンペーン開始前にすべての広告を人の手で制作し、それとまったく同じ形で配信されるということです。

しかし、これはプログラマティック広告のキャンペーンを実施するにあたって、大きな制約となります。制作できる広告のバージョンには限りがあり、メッセージも非常に一般的なものにならざるを得ないからです。

そんなプログラマティック広告に大きな変革をもたらしたのが、ダイナミック・クリエイティブ・オプティマイゼーション(DCO)です。あらかじめ静的な広告を決めておくのではなく、テンプレートを用意し、広告が表示されるユーザーのデータに基づいてさまざまなエレメント(要素)を何通りもリアルタイムで組み合わせるというものです。

たとえば、ユーザーの最近の閲覧履歴に基づいて、ある人には猫用バスケットの広告を、またある人には犬用ビスケットの広告を表示したりするのです。

あるいは、最近テントと寝袋を買った人には、キャンプ用のグリルや椅子を紹介するDCO広告を表示し、アップセル(顧客の売上単価向上)を促すこともあります。これが静的な広告だと、一般的なキャンプ用品の広告を配信するにとどまります。

適切なテクノロジーを活用すれば、ユーザーが以前検索したことがある製品をDCO広告で表示し、現在の在庫数や価格を表示することも可能です。

たとえば、週末のレンタカーを探している人に対して、閲覧していた車種の中で利用可能なモデルを、正確な利用日や目的地に合わせ、現在価格とともに表示できるのです。

このレベルでのパーソナライゼーションによって、プログラマティック広告のパフォーマンスが劇的に向上することは想像に難くないでしょう。

プログラマティック広告を成功させるために必要なものは?

プログラマティック広告のキャンペーンを成功させるためには、企業やエージェンシーが留意すべき点がいくつかあります。

  • 興味を持ちそうなオーディエンスを、数多く割り出す(DMPを活用)
  • そのオーディエンスに対して配信できるよう広告インベントリを確保する(DSPを活用)
  • 確保した広告インベントリに、関連性の高いメッセージを配信する(DCOを活用)

またすべての広告を、適切な方法で合意を得た上で配信するよう確認することも重要です。

プログラマティックに影響を及ぼす課題

プログラマティックに影響を及ぼす2つの大きな課題は、データの欠落と漏洩です。

データの欠落は、テクノロジーを別のテクノロジーと接続しようとする際に発生します。各ステップで約3割が失われると推定されています。たとえば、DMPをDSPに接続するとデータの3割が失われ、DSPをDCOと接続しようとすると、さらに約3割の損失が発生するのです。

データの漏洩は通常、企業、エージェンシー、アドテク企業がウェブサイトのオーディエンスに関するデータを収集し、それをパブリッシャーの許可なく使用した場合に発生します。

これらの問題を回避するにはDMP、DSP、DCOをすべて備えた、クリムタンのようなパートナーと提携することをお薦めします。(ぜひお気軽にご連絡ください。当社の専門家がご相談にお答えします)

提携によってデータの欠落や漏洩のリスクを回避できるだけでなく、パートナー企業はライフサイクル全体を通して顧客をモニタリングできます。そして、キャンペーンのための優れたデータを得ることができ、アトリビューションが改善し、透明性が大幅に向上するのです。

単一のプログラマティック・パートナーに絞り、アトリビューションを改善

意思決定が単一のテクノロジー内で行われる場合には、プログラマティック・パートナーは点と点をより効率的に、そしてより深く結びつけることができます。

たとえば、ディスプレイ、ネイティブ、動画、オーディオ、DOOH、コネクテッドTVでプログラマティック・キャンペーンを実施しているとします。ユーザーが自分の端末で広告を見ている場合は、当然のことながらIDを関連付けることができます。しかし、ユーザーが駅を歩いている場合は、どうでしょうか? コネクテッドTVの広告を見たか、そしてそれが彼らの行動に影響を与えたかを、どのように知ることができるでしょうか?

クリムタンのような単一のプログラマティック・パートナーは、広告がいつどこに配信されたかを把握し、コネクテッドTVにIPアドレスを割り当て、位置情報を提供できます。またブラウザの動作を見れば、IDに関連づけられていないアクティビティがその場所で増加したのか、あるいは減少したのかも把握できます。

すべてが一カ所に集約されているからこそ、広告が配信された時間や場所を把握し、IDに関連付けられていない行動を関連づけることができ、キャンペーンの正確なアトリビューションを実現できるのです。

プログラマティックはどのように役立つか?

プログラマティック広告の基礎知識やその仕組み、課題について、簡潔にご紹介してまいりました。お役立ていただければ幸いです。
プログラマティックがどのように役立つか、あるいは当社が単一のプログラマティック・パートナーとして御社のキャンペーンのパフォーマンスにどのように貢献できるか、詳しく知りたい方はぜひお気軽にお問い合わせください

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