ラストクリック・アトリビューションが機能しない理由

正確なアトリビューションは、デジタルマーケティングのもっとも重要なゴールのひとつです。売上がどこから発生しているのかを正確に把握できれば、予算を適切な領域に正しく配分し、広告の無駄を回避できるからです。

では、デジタル広告のアトリビューションを正確に測定する上で、最も効率的な方法は何なのでしょうか? 多くの広告主が従来から重視してきたのは、ラストクリック・アトリビューションでした。これは基本的に売上への貢献度の100%すべてを、最後のトラフィックソース(売上が発生した直前のクリック)に割り当てるというものです。

しかし、これが売上の全体を把握するために、正確な方法でないことは明らかです。

たしかに、直前のクリックから売上が直接発生した可能性はありますが、衝動買いする人はそれほど多くはありません。多くの消費者は、購入に先立ち、他のメディアや広告に接触していたのでしょう。

実際のところ、購入してくれた顧客は御社のマーケティング・ライフサイクルに、購入よりも前の段階から深くかかわっていた可能性があるのです。

ラストクリック・アトリビューションが危険な理由とは?

では、ラストクリック・アトリビューションは一体何が問題で、なぜ危険なのでしょうか? それは、不正確なだけでなく、誤った分野に投資してしまうリスクがあるからです。

売上が単一のソース(ラストクリック)から発生したと仮定することで、将来的にもそのソースを重要視し、予算を重点的に配分する可能性が高くなります。その結果、顧客が購入に至るまでに不可欠な領域から、予算を削減することになりかねません。

つまり、マーケティング・ライフサイクルの重要なステージを削減したり、完全に破壊してしまう可能性もあるのです。

広告は、顧客ライフサイクルを導くためのもの

マーケティングでは、顧客はライフサイクルと呼ばれるプロセス(新規開拓、コンバージョン、価値向上)を経ていきます。ブランドや製品を認識し、深く知って、購入の意思を固めるのです。購入に検討を要するものほど、購入に至るまでに多くの時間や情報が必要になります。

ライフサイクルのプロセスでは、購入を決めるまでにいくつかのタッチポイントが必要になる場合があります。しかしラストクリック・アトリビューションのみに注目すると、売上に貢献したマーケティング施策は購入直前にクリックした広告のみになり、タッチポイントを無視することになってしまうのです。

ラストクリック・アトリビューションで、トップファネルが枯渇する可能性も

通常、ラストクリック・アトリビューションによって最も軽んじられてしまうのは、新規ユーザーです。ラストクリック・アトリビューションの性質上、ブランドやサービスを初めて認知するに至った施策は無視されてしまうからです。(もちろん、まったく新しいユーザーに最初の接触で購入を決めてもらうことができれば話は別ですが、それは珍しいケースでしょう。特に購入までに検討を要するものについては、きわめて難しいと言わざるを得ません)

そのため、ラストクリック・アトリビューションに基づいてキャンペーンを計画すると、最終的に購入してくれた人々が見つけてくれたトラフィックソースを、排除してしまうリスクが生じます。

その代わりに、すでに御社のライフサイクルに深く関わっていてコンバージョン寸前の人々を優先し、彼らに向けたメッセージやタイミング、プレースメント(広告の配信先)の広告キャンペーンに重点を置くことになるでしょう。

ラストクリック・アトリビューションによって、深みのないキャンペーンになってしまう

ラストクリック・アトリビューションのもう一つの欠点は、キャンペーンを一次元的で深みのないものにしてしまう可能性があることです。配信面、クリエイティブ、メッセージングのすべてが、ファネルの最下部にいるコンバージョン寸前の人々に偏ってしまうのです。

その結果として見落とされがちになるのは、ブランド認知度を高めるメッセージングです。これは今すぐに売上に寄与はしないかもしれませんが、ブランド資産を高め、将来の売上につながる潜在的なオーディエンスの人々を拡大する、きわめて重要なものです。

クライアントがFacebook広告をやめた機会に、ラストクリック・アトリビューションを検証

ソーシャルメディアの広告では、ラストクリック・アトリビューションのパフォーマンスが高い傾向がよく見られます。購入者は製品やブランドに精通しており、ソーシャルメディアでリターゲティングされた広告(特に何らかの特典を謳う広告)に反応する傾向があるからです。

しかし2020年7月に多くの広告主がFacebookをボイコットし、広告掲載を停止しました。そしてこれは、クライアント企業のキャンペーンにおけるFacebook広告の影響を、テストする絶好の機会となりました。

もしもラストクリック・アトリビューションが有効であるならば、その月のクライアントの売上には劇的なマイナスの影響が見られたはずでした。しかし、そうはならず、その月の売上は減るどころか増えたのです。(詳しくはこちらのホワイトペーパーをご覧ください)

ラストクリック・アトリビューションに代わるものは?

ラストクリック・アトリビューションが機能しないのであれば、一体何が機能するのでしょうか? そのためには、広告が見られた瞬間からライフサイクル全体を見通すことを支援できるパートナー、そしてライフサイクル全体における売上を正確に測定し、消費者が購入を決めるまでにたどるプロセスを理解できる、クリムタンのようなパートナーとタッグを組む必要があります。

また、相乗効果の価値や、広告施策がブランドのオーガニック検索などに与えるプラスの影響について、理解しているパートナーが望ましいでしょう。

正確なアトリビューションが、キャンペーンのパフォーマンスをいかに向上させるか、詳しく知りたい方はぜひお気軽にお問い合わせください